RECOMMENDED

CATEGORIES

PRESS&RELEASE

FACEBOOK

gourmet-artisan-02

大事な人に届けたい、ナチュラルなパンがある-アルティザン-

GOURMET|2017.4.26 Photography:Satoru Hirayama
Text:Tomoko Ikuno

大手門から始まった、あるパン職人の物語

飲食店からの支持も高く、小麦香る力強い味わいでパンの存在感を高めている大手門のベーカリー「アルティザン」。「大事な人に届けたいパン」を思い描き、ワインとの関係性も模索する人。パン職人・安原太路さんが今回の主人公だ。

福岡出身の安原さんは大学卒業後に手に職を持ちたいと、パン職人を目指した。横浜、福岡で7年の修業を積み、本場フランスでもパンを食べ歩いた。
そして30才になった年、2005年大手門にベーカリーを開業。

gourmet-artisan-03

それまでに学んだ全てを発揮し、パン生地が常に良い状態であるよう手を尽くす。発酵や捏ね上げる時間などこまめにデータを取り、まさに人間の叡智をフル活用するパン作りを行った。

2年前のある出来事までは。

一杯のワインがパン作りの概念を変える

gourmet-artisan-04

その時のことは今でも忘れない。「僕が実践してきたことを丸ごと覆す衝撃を受けました」と安原さんは振り返る。
その日は懇意にしている大手門の「クロマニヨン」でのディナー。
料理、ワインともに自然に徹したこの店で注がれた一杯のワインが、安原さんの人生を大きく変えた。

それは今までに味わったことのない、幾重もの層になったテクスチャーが感じられるワインだった。
常にワインの隣にあるパンを意識してきた安原さんだが、この味わいに匹敵するパンのイメージがどうしても浮かばない。
「自分がデータの上で作り上げたものを超える、“新しい旨さ”がここにはある」。
今までのパン作りの概念が見事に打ち破られ、そして安原さんの“原始のパン”作りが始まった。

gourmet-artisan-05

自然に寄り添うことに決め、すべてを一新

「自分は考えすぎていたんだなと気付きました。土から野菜が生まれるように、もっと自然な形でパンを作ろうと思ったんです」。

gourmet-artisan-06

九州産の小麦、三瀬の平飼いの鶏が生んだ新鮮な卵、熊本・玉名牧場の牛乳。バターも牧草で育てている乳牛からできたものしか使わない。時期によっては農薬・肥料を一切使用せず、農地も耕さない“ 不耕起の小麦”も取り入れる。

「酵母がなくても発酵するようなすごい小麦粉なんです」と惚れ込む。この小麦粉を使用したカンパーニュは7月頃から登場予定だが収穫量が限られており、数量限定なので是非問い合わせを。

gourmet-artisan-07

未知なる可能性を信じ、ナチュラルな美味しさを追う

素材の見直しを進め、生産者の元へ訪れる度に手にした実りをズシリ重く感じると安原さん。「素材のポテンシャルの高さを実感すると、食らいついていかなくてはと心に火がつきます」。素材に、そしてあの日飲んだワインに負けないパンを作りたい。自然のやり方はリスクも高いが、人間の脳だけでは到達できない可能性がそこにはあるはずだ。

gourmet-artisan-08

そしてパン作りに欠かせない“酵母”の話も忘れてはならない。イースト菌は一切使わず、その季節に応じた天然酵母を用意する。ベースとなる液だねは北海道のワイナリー「kondo ヴィンヤード」から届くワインの絞りかすだ。

瓶の中でふつふつと泡立つ姿を見ていると、そこに確かな生命の息吹があることに気づく。小麦粉のデンプンを12~15時間かけて食べさせてスタンバイ。「さあ、頑張ってくれ」。ここから先は自然の酵母に委ねる。小麦の香りを一杯に携えた生地が産声を上げるまで。

ワイン片手に自由に楽しむパンスタイルを

そんな風に作られたパンはハード系が中心だ。スライスすれば大きな気泡の跡が。「大きな穴は酵母が活発に働いた証拠。
パンを食べ慣れている人はこの気泡をチェックして、いいパンだねと言ってくれたりします」と安原さんは嬉しそうに断面を見せてくれた。その言葉を証明するように、本場の国で育った外国人の常連客も多い。

gourmet-artisan-09

gourmet-artisan-10

「パンの中に小麦粉の本質を出すことが僕の役目です。食べ方は思い思いに。ワインと一緒に食卓の中で楽しんでくれる人を増やしたい」との声には、安原さんのパンへの熱い想いが隠されている。

幸せな食卓に、いつも小麦香るパン

パンを手に今後の展開を語ってくれた安原さん。「大きなパンをシェアするようなスタイルを広めたい。1つのパンで家族や友人、ご近所さんが繋がるような。それにゴミを出さないことや動力のことも考えていきたいですね。作り手として社会の循環の中にいることを意識したいと思っています」。

gourmet-artisan-11

「アルティザン」のパンを出す飲食店は「クロマニヨン」「チェルニア」「フリッジ」など福岡のグルメシーンを牽引する名店揃い。お互いが「ここのパンはすごい」、「ここの料理はすごい」と敬意を払いつつも、「負けられない」と意識し合う仲だ。きっと彼らの出会いも自然の流れのひとつ。

土に水に風に太陽に感謝する気持ちを共有して、素晴らしき食卓のために手を取り合う。その席につくことができる喜びを、私たちは忘れない。

gourmet-artisan-12

Share on Facebook403Share on Google+0Tweet about this on Twitter0

information

アルティザン
アルティザン
住所:福岡市中央区大手門2-10-17ダイアパレス大手門第2-101
電話:092-724-6079
営業時間:11:00~18:30
店休日:月曜日
pagetop