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「⾃然」と「記憶」、「ぬくもり」を、焼きあげて

GOURMET|2018.1.22 Photography:Satoru Hirayama
Text:Satomi Nishimura

素朴でいて洗練。ふたつの顔を併せもつお菓⼦

フランスとスペインの国境に横たわるピレネー⼭脈。ガトー・ピレネーはその麓に伝わるトラディショナルなお菓⼦である。素朴で優しいこのお菓⼦を、⾼宮(福岡市南区)の丘の上に場所を変えて焼きあげている店がある。薙野耕平さんが営む「fattoria da Cosimo(ファットリア ダ コジモ/以下、Cosimo)」だ。

「da Cosimo」のガトー・ピレネーを焼くのはオーブンではなく、炭⽕である。⾚い備⻑炭がこんもりと盛られた炉の上で、⼀層ずつ⽣地をまとっていく。毎⽇早朝から薙野さんご本⼈が、ゆっくりゆっくりていねいに、⼀本焼き上げるまでにかける時間は2〜3時間。そのぶん⽣地はしっとりと締り、密度が⾼く、ふわふわとしたバームクーヘンとは全く別のもの。⼝に運べば森の景⾊が浮かぶような味わいだ。それでいてスマートな印象が残るのは、上品な柑橘系の⾹りがふわりと追いかけてくるからだろうか。ななめにカットすれば⼀層⼀層の⽣地の⾷感がより引き⽴つ。

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全国誌でおすすめの「⼿みやげ」として取り上げられるほど⼈気のガトー・ピレネー。しかし、1⽇にできる数はとても少なく、カットしたもので80個ほどという。「焼いているのは、僕ひとり。だから頑張ってもこの数にしかならなくて」と薙野さん。2012年のオープン以来このペースを保ち続けて、⾃然体でまっとうなリズムを崩そうとはしない。
話を聞くうちにふと、⾺と畑を耕し、⾃らぶどうを育てている⾃然派ワインの造り⼿の姿勢を思い出す。そんなところも私たちが「da Cosimo」に⼼を寄せてしまう理由のひとつだ。

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シンプルなお菓⼦だから、素材のひとつひとつに興味がわいてくる。薙野さんによると、⼩⻨粉は100%⽷島産の「ちくご⼭笠」と「みなみの息吹」をブレンドしたもの。

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⾒るからに健康そうな卵は、前原市で化学飼料を使わずに育てられた筑前卵。そして宮崎県で伝統的な製法で作られていて、お菓⼦作りが好きな⼈たちにファンが多い⾼千穂バターなど。「どれも味わいが好きな素材ばかりで。ひとつずつ⼤切に選んでいきました」薙野さん。

イタリアで過ごした⽇々が、3つの⾔葉になった

「da Cosimo」とともにイタリア料理店「SACCO」を営む薙野さんが、いつも胸の⽚隅に置いているのは「⾃然」「記憶」「ぬくもり」という3つの⾔葉だ。その理由を尋ねると「これらの⾔葉を⼤切にするようになったのは、以前、イタリア南部のまちで、家族経営のレストランに勤めていた時の影響が⼤きいですね」と教えてくれた。イタリア南部のアドリア海から⽔揚げされる新鮮な海の幸。真っ⾚なトマトやフレッシュな⾹りのオリーブオイル。イタリアの⾃然の恵みにワクワクしたこと。レストランを営むファミリーの⼼の広さと温かさにぐっときたこと。そして彼らが、⾃⾝を家族の⼀員として受け⼊れてくれた、うれしい思い出の数々。イタリアで味わったそんな感情のひとつひとつが凝縮されて、「⾃然」「記憶」「ぬくもり」という3つの⾔葉に結ばれた。イタリアでの⽇々は薙野さんにとって、ひとつの通過点ではあるだろう。しかし、⼈⽣において宝物のような2年間なのであるのだろうと想像してしまう。

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イタリアから戻り、⾃分の店を開くなら「⾃然」「記憶」「ぬくもり」が感じられるようにと思い描いていた薙野さん。そんなある⽇、当時の仕事仲間であり、今は「SACCO」のシェフである秋元さんが、薙野さんのためにガトー・ピレネーを作ってくれた。勤務先の厨房でゆっくりじっくり焼きあがる素朴で温かみのあるお菓⼦。その時感じた空気感が、⾃⾝の思い描いていた「⾃然」「記憶」「ぬくもり」にぴたりと重なる。あの時感動した、イタリアでのあれこれが蘇る。「とにかくこれだ」。そう確信して、ガトー・ピレネー専⾨店「da Cosimo」をオープンさせることになったという。

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京都の⽼舗・鈴⽊松⾵堂さんの和紙をつかったパッケージは、⾓を出さないようにプレスした、ほわんと丸い形状。⼿のひらに触れるとふんわり「ぬくもり」を感じる。これも「da Cosimo」らしさ。ちなみに「da Cosimo」という店名は⼈名だそう。「僕は耕平なので、イタリアで『コー』と呼ばれていました。イタリアで『コー』といえば、『コジモ』という名前の⼈のニックネーム。だから勤めていたレストランのファミリーに『君のイタリアネームはコジモでいいだろ?』なんて⾔われていたんですよ」。薙野さんは、ずっと⼤切にしたいイタリアでの「記憶」を店名に冠している。

これからも⾼宮の丘の上でガトー・ピレネーを

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「da Cosimo」があるのは、⻄鉄⾼宮駅から続く丘の上。静かに広がる住宅地の⼀画だ。息を弾ませながら坂を登りきる少し⼿前、少しひらけたスペースに⽩い⼯房がある。周囲の庭の⽊々や⾼宮⼋幡宮の鎮守の森と、まわりには⼈々が愛情をかけて保ってきた「⾃然」も残っていて、「da Cosimo」はそれを借景しながら佇んでいる。そしてなにより、この地の気の流れの良さとのんびり感に、「da Cosimo」のガトー・ピレネーはよく似合う。ちなみにお店を守るのは、薙野さんの奥さんの公代さん。イタリアで働いていた店のように、家族経営でもある。

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オープン以来、「da Cosimo」は周辺に暮らす⼈々にもすっかりおなじみの存在となった。⼤晦⽇と元旦には店をあけ、店の前で炭⽕をおこしてガトー・ピレネーほんのり温めて出しているそうだ。⾼宮⼋幡宮での初詣を終えた⼈々は熱いコーヒーで暖を取りながら、年越しのガトー・ピレネーをひとかじり。こんな特別な⽇はもちろんのこと、いつものおやつに、友⼈へのおもたせに。毎朝のように⽴ち寄って、キレハシを買っていく⼈もいる。

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遠くはなれたピレネー⼭脈の麓で⽣まれたガトー・ピレネーが、福岡の⼈々の「記憶」も中に、少しずつ確実に浸透していく物語はなんとも味わい深い。オロジオ・⽊村社⻑とガトー・ピレネーの出会いは、ジェントリーコンプレックスの児⽟さんのブログ記事で。
児⽟さんはオロジオスタイルにも登場してくれた。過去の記事はこちらで。

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「da Cosimo」のガトー・ピレネーは、オロジオ15周年のアニバーサリーパーティにも届けていただいた。テーブルに花を置き、コーディネートまでしてくれて、お祝いの花畑までうまれた。別の⽇、⽊村社⻑が料理のケータリングをお願いした時も、薙野さんが花やグリーンを持参して⾷卓を飾ってくれて、その気持ちとセンスの良さに感動したそうだ。温かな⼼遣いとうれしさに満ちた瞬間はまさに、「⾃然」「記憶」「ぬくもり」の3つの⾔葉に還っていく。

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information

ファットリア ダ コジモ
fattoria da Cosimo ファットリア ダ コジモ
住所:福岡市南区⾼宮4-14-6
電話:092-523-5262
営業時間:11:00~18:30
店休日:⽉曜⽇(祝⽇の場合は翌⽕曜⽇)
ショップ以外にも、岩⽥屋本店・ボンラパス⾼宮店・ボンラパスTREZO(以上、福岡) 、阪急うめだ本店(⼤阪) で⼊⼿可能(数量・販売⽇程限定)
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