RECOMMENDED

CATEGORIES

PRESS&RELEASE

FACEBOOK

gourmet-sacco-02

駅を降りたら、イタリアのマンマの料理が待っている

GOURMET|2018.3.22 Photography:Satoru Hirayama
Text:Satomi Nishimura

ここは⾷堂。みんなが集う場所でありたい

⻄鉄 ⾼宮駅の⾼架下は「味のみちくさ通り」と名付けられているらしい。ほんのりとローカルチックな商店や昭和テイストをまとった⾷事処が、⼩ぢんまりとお⾏儀よく並んでいる。その中にあって「イタリア⾷堂 SACCO」は、ちょっと気どって訪れる場所なんだろうと想像していたのだが、その予想は⼼地よく裏切られた。

⾚チェックのクロスをかけたテーブルを囲むのは、パスタ好きの⼥性たち、お散歩途中のおじいちゃんおばあちゃん。⼩さな⼦どもを連れたファミリーもいれば、休憩中のビジネスマンもほっと⼀息。外のテーブルにはワンコも集うし、時には制服姿の⼥⼦⾼⽣も嬉しそうに現れる。みんな⾃分らしいペースで思い思いに、「SACCO」の時間を過ごしている。

gourmet-dacosimo-03

「そう、うちは街の⾷堂なんですよ!」と笑顏で迎えてくれたのは、シェフ兼マンマの秋元 幸さん。料理の世界に⾶び込んでからイタリア料理をメインに歩み、イタリア・ナポリでの修⾏経験もある。おいしいものが⼤好きで、ナポリ時代は⾃由な時間ができるとすぐに、下宿の近所にある⾷堂へ⾜を運んでいたそうだ。そして、下の写真の⼥性は下宿先のマンマ。こちらも、たっぷりイタリアごはんを⾷べさせてくれた。秋元さんも週1回、⽇本⾷を振る舞っていたそうだ。

gourmet-dacosimo-03

「和⾷でもイタリアンでも、⽇本ではなんとなく、男性シェフのイメージでしょう? でも私が滞在していた南イタリアでは、マンマが厨房を取り仕切っていたんです(笑)」と秋元さんは振り返る。もちろん⾼級レストランの厨房には、イタリアでも男性シェフが多い。しかし、地元っ⼦が通う“いつもの⾷堂”では、マンマとおばあちゃんが厨房の主役。お⽗さんは注⽂を取ったり、ワインを運んだりするサービス担当というパターンが⼀般的だったそう。

gourmet-dacosimo-03

「SACCO」のレシピも「私がナポリで⼤ファンになったマンマの味を、みなさんにそのまま⾷べてもらえるものですよ」。だから、「SACCO」はレストランではなく、あえて⾷堂。当時、イタリアで頑張っていた秋元さんの胃袋をつかんで離さず、⼼にも寄り添ってきたマンマの味を素直に再現した。

⾃慢のポモドーロもそう。⽟ねぎを⼊れない南イタリアのスタイルで、トマトの酸味を活かしたマンマの味。トマトソースは作り置きせず、オーダーごとにトマト⽸からフライパンへトマトを移し、シンプルに仕上げていく。その味は、私たちにとって、「SACCO」のマンマの味になっていく。

gourmet-dacosimo-03

「SACCO」は不思議な⾷堂だ。扉をあけると、南イタリアにテレポートしてしまったような感覚になる。イタリアを訪れたことがない⼈にとっても「そうそう、この感じ、イタリアっぽい!」と共感し合える、⼤らかで明るいフィーリング。知らず知らずにワクワクして、いつもよりおしゃべりになってしまいそうな。

gourmet-dacosimo-03

「僕らはそれを『イタリアの⾵が吹いているねえ!』なんて⾔っています。その⾵は、僕らが吹かせているのではなく、お客さんの中から巻き上がってくるものなのですよね」。そう話すのは「SACCO」オーナーの薙野耕平さん。もともとイタリアンのシェフで秋元さんの先輩にあたり、現在、⾼宮の丘の上でガトー・ピレネーのお店「fattoria da Cosimo」も営んでいる。

gourmet-dacosimo-03

「SACCO」に吹くイタリアの⾵は、とにかく優しく、温かい。いつのまにか⼈々を包み込んで、初めて来たのにゆっくりとくつろがせてもらえる。通い慣れた店にいるように錯覚してしまう。

厨房を動き回る秋元さんの姿を眺めるのも、楽しい。カツレツの⾁をトントン叩く⾳をBGMに、ワイングラスを傾け、会話も弾み、朗らかなイタリアの⾵が巻き起こる。

SACCOマンマの料理をごらんあれ!

「SACCO という店名は、イタリア語の「un SACCO di felicita」に由来して、『幸せの袋』という意味を持つそうだ。秋元さんの名前は『幸』だし、秋元さんがつくる⼀⽫⼀⽫は、ほっこり幸せな気分にしてくれる。そんな料理をさっそく紹介していきたい。

gourmet-dacosimo-03

お店の看板メニューでいて秋元さんの思い出の料理「パルミジャーノ」。ナス、トマト、チーズの重ね焼きで、イタリアの下宿先のマンマ直伝の味。ナスを⼀度卵にくぐらせて揚げるという⼀⼿間をかけているので、ジューシーさが違う。オロジオ・⽊村社⻑の⼤好物。

ちなみに秋元さんが⽇本に帰国する前⽇、マンマがラスト・ディナーに選んだのも、この料理。翌朝はそれをパンに挟み、お弁当として持たせてくれたという。「体調を崩した時も、パルミジャーノで元気づけてくれたし、記憶に残る味ですね」。

gourmet-dacosimo-03

豚ロースカツレツは、こちらも⽊村社⻑の⼤好きな⼀品。豚⾁は薄く叩いているのでサクッと⾷べられる。もりもりトマトの付け合せはマンマからの「野菜をたっぷり⾷べてね」のメッセージ。

gourmet-dacosimo-03

ちなみに⽊村社⻑は、ランチボックスやケータリングを「SACCO」でお願いする時もあるそう。ホームパーティなどにもぴったりで、料理の種類やボリュームも相談に乗ってくれるので、気になる⽅は「SACCO」までぜひ相談を。

gourmet-dacosimo-03

フォカッチャの⽣地は⼩⻨粉にじゃがいもを合わせたもの。もっちり⾷感がおいしい。これも南イタリアのスタイル。

gourmet-dacosimo-03

さっぱりシンプルなイワシマリネ。酸味がしっかりしていて、アクセントになる。飽きないから、毎⽇だって⾷べられる。

幼いころから描いていた、⾼架下にある店。

年に⼀度は南イタリアに⾜を運び、⾷べて⾷べての研修旅⾏に⾏くことにしている秋元さん。そこでまたイタリア⾷堂の味、マンマの味に出会い、再現したいと思っている。

カウンターの中には秋元さんと息もぴったりなサービス担当の⽥上さん。ちなみに今⽇着けているレモン柄のエプロンは、⽊村社⻑からのイタリアみやげだそう。お似合い!

gourmet-dacosimo-03

ちなみに秋元さんは⼩さい頃から、⾼架下でお店を開くことを夢⾒ていた。「当時は、⽣姜焼きや塩サバを出す定⾷屋さんのイメージだったんですけどね(笑)。それがいろんな縁あって、⾼宮駅の⾼架下で『SACCO』をオープンするなんて。おもしろいですよね」。

オーナーの薙野さんも、狙って⾼架下のテナントを探していたわけではないそうで、「たまたまですよ。この場所いいなと」と笑う。きっと何かの縁があったのだろう。

gourmet-dacosimo-03

最後に、「南イタリアの好きなところは?」と秋元さんに聞いてみた。すると「不便なところかな。時間がゆったりと流れているんですよね」。その答えを⽿にして、なぜ「SACCO」にこのような居⼼地のいい空間が⽣まれるか。少しだけ分かったような気がした。

Share on Facebook0Share on Google+0Tweet about this on Twitter0

information

イタリア⾷堂 SACCO サッコ
イタリア⾷堂 SACCO サッコ
住所:福岡市南区⼤楠3-20-18
電話:092-523-3525
営業時間:11:30〜15:00(L.O.14:30)
     17:30〜22:00(L.O.21:30)
店休日:⽉曜⽇(祝⽇の場合は翌⽕曜⽇)
pagetop