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磨かれてゆく、人生を楽しむスキル。-NEST 代表 副島 邦彦-

PEOPLE|2016.1.1 Photography:Satoru Hirayama
Text:Satomi Nishimura

オロジオのショップは彼の手で照らされている。

「木村さんにお願いされたら、なぜか登場する気になってしまうんですよね」。
やわらかい笑顔で出迎えてくれたのは、北欧ヴィンテージ家具を中心としたショップ「NEST」、そして「NEST」が提案するバー「Bar ugle」のオーナーである副島さんだ。普段はインタビューや写真撮影があまり得意ではないというが、なんのその。副島さんの話を聞いている私たちは、おもしろくて楽しくて、随分と長居をしてしまった。

オロジオスタイルの読者の方々に、副島さんをご紹介する時、こんな写真をお見せした方がスムーズだろう。

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オロジオのショップに美しく並ぶ、Louis Poulsen(ルイス ポールセン)の照明。これをコーディネートしたその人が、副島さんだ。「NEST」の代表として、家具や雑貨の買い付けを行い、客からの相談へ我が家族のことのように身を乗りだす。

相談の内容は家具だけでない。インテリアという共通項を通して、日々、重ねてきた客との信頼関係もより熟成され、「うちのリフォームプラン、副島さんが考えてくれない?」と、オーダーされることも増えている。実は、オロジオ・木村社長もそのひとり。ショップにとどまらず、自宅のコーディネートをお願いしたこともある。(※写真は「NEST」店内にて)

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副島さんと木村社長は、リスペクトしあっているのか、シンプルに気が合うのか、双方の話ぶりからその関係の良さがうかがえる。どちらにしろ、ふたりに共通していることはある。いつも楽しそうに話し、仕事をし、楽しそうに食べて飲んで、生きていることだ。

北欧の暮らしの提案が、ライフワーク。

副島さんが「NEST」で提案したいのは、北欧の“ふつうの暮らし”だ。「初めてコペンハーゲンを訪れた時のことでした。そこで目にした暮らしを提案する仕事ならば、一生楽しみながらできると思ったんです」。

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コペンハーゲンには、ひと目でブランドものと分かる洋服を着ている人はほとんどいない。「服を選ぶ時も、流行やネームバリューではないんです。みなさん自分と向き合い、自分に似合う服を知り、選んでいらっしゃるのが素敵でした」。

ある家庭の夕食に招かれた時は、シンプルで質素なほどの暮らし方に影響を受けた。その一方、部屋のコーナーには間接照明が当り前に置かれ、家族を温かく照らしている。テーブルにはキャンドルの光が揺れ、手料理をさらにおいしく見せている。「ご存知のように北欧は日照時間が少なく、家で過ごす時間が長い。ですから室内の“光”をとても大切にしているんですよね」と副島さんは振り返る。

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照明とともにこだわりを持つのは「家具を美しく、収まりよく配置するには、どうしたらいいのか?ですね。リフォームやリノベーションのプランを考えるのも、職業柄、まずは家具から入ります。大きなソファが譲れないなら、搬入できるサイズのドアをつくってしまえ、とかね(笑)」。間取りとはある意味、既存のルール。無理矢理はめこむ必要はないというわけだ。

留学生でいてバイヤーだった、アメリカ時代。

そんな自由な発想は10代の頃から培われた。

好奇心が旺盛だったという、少年時代の副島さん。中学生の頃からイームズを代表とするミッドセンチュリーの世界に興味を持つ。それをきっかけにアメリカン・カルチャーにも強くひかれていった。「本物を見なければ気が済まなくなっちゃって」とアメリカの大学へ留学。勉強のかたわら、ケース・スタディ・ハウス(実験的な住宅建築)にふれるなど、建築・インテリアへの造詣も深める。趣味が学びに、学びが趣味に。努力もしたが、何より楽しむことで、今の土台を築いていった。

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「アメリカでは学生をしながら、古着のバイヤーをしたり、車の輸入を手伝ったり、いろんなことをしていましたね。時計もそうです。ヴィンテージ・ウォッチを買い付けて、日本に送った数は何百本になるでしょうか」と副島さんは続ける。聞けば、10代の頃から大の時計好きで、つけない日はないほど。「時計を忘れて外出すると変な気分。パンツをはき忘れたみたいに、そわそわするほどですよ(笑)」。

美しい品格の一本と、遊び心の一本と。

これまで、さまざまな時計とともに過ごしてきた副島さんが、今、主なパートナーとしているのはこのふたつ。

ひとつめはずっと前からいつかは持ちたいと思っていた〈jaeger-lecoulte/ジャガー・ルクルト〉の「ディープシー・クロノグラフ」。

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その中でも、サーメットを素材に用いた、サロンでしか購入できないモデルである。「こちらをオロジオで見つけた時には、すぐに『これだ!』と。インデックスのカラーはベージュがかった白で、このヴィンテージ感が僕の仕事に似合いませんか」。機能的で質実剛健なのに、どこまでも品格がある。その計算しつくされた美しさに心をつかまれたという。

もうひとつは〈IWC〉のスペシャルエディション「アクアタイマー ガラパゴスアイランド」。

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50年以上前からガラパゴス諸島を支援している〈IWC〉による限定モデルだ。「夏が来て、ラバーバンドの時計があったらいいなあと思っていたら、出会ってしまいました」。おそらく10歳若かった時には選ばなかった時計だと言い、「いわゆる“遊びごころ”がある時計を、落ち着いてきた今の年齢でつけるから、いいんじゃないかなあ」。

これから手にしてみたい時計は?の質問には「50歳になったら〈PATEK PHILIPPE / パテック フィリップ〉でしょう!」とにんまり。その最高峰ブランドに辿りつくために、今、「500円玉貯金をしているんですよ(笑)」とくる。何より、手にするまでの過程を楽しみたいからだ。「〈PATEK PHILIPPE〉がほしいから、500円玉もほしくって。コンビニのおつりが楽しみになります」。

と、冗談めかして副島さんは話してくれたが、その奥には哲学がある。常に目標を持ち、それにむかって楽しみながら努力を続けたい、という思いだ。目標を達成するには、今何をすれば良いのか? 考えて行動するから、夢が実現し、人生が充実している。副島さんの“人生を楽しむスキル”は、これからもより完璧なまでに、磨かれ続けていく。

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NEST design inc. 代表 副島 邦彦
NEST design inc. 代表 副島 邦彦
北欧を中心としたヴィンテージ家具のショップを営む。少年時代より、建築やインテリアに興味を持ち、アメリカに留学。その時代にバイヤーや貿易業等も経験し、帰国後はイギリスなどヨーロッパでバイヤーとして活躍する。2002年、独立し、福岡市中央区に「NEST」を立ち上げる。現在は家具や雑貨の販売にとどまらず、個人宅や店舗のコーディネート、リフォームプランの提案も行う。2009年には「Bar ugle」を「NEST」に隣接するビルにオープン。大の時計好き。
NEST design inc.
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住所:福岡市中央区薬院2-13-27 NEST Bldg 1F
電話:092-725-5550
営業時間:11:00~20:00
店休日:不定休

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