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石垣島からオロジオへ。ぺんぎんさんがやってきた-辺銀食堂 辺銀暁峰・愛理-

PEOPLE|2016.7.28 Photography:Satoru Hirayama
Text:Satomi Nishimura

引きこまれていく、暁峰さん、愛理さんの魅力

沖縄・石垣島の空気が、オロジオのサロンにそのまま流れ込んできたよう。店内の色合いが急に変わったと、心と肌でそう感じた。「石垣島ラー油」でおなじみの「辺銀食堂」。その代表である辺銀暁峰・愛理夫妻が、福岡市・大名にあるオロジオのサロンを訪れてくれた時のことである。

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暁峰さんのどこまでもピースフルな笑顔には、ついこちらも引き込まれて笑ってしまう。愛理さんの瞳は、本当に大切なことだけを見るように輝いていて、吸い込まれそうだ。おふたりは、八重山の自然を吸い込んだように、生命力にあふれている。夫妻が誰であるかを知らない人でも、ふたりらしい人生をのびやかに歩いてきたんだろうと、すんなり想像できてしまう空気をまとっている。

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オロジオ・木村社長も、そんな辺銀ご夫妻の大ファン。石垣島を旅した時に「辺銀食堂」を訪れ、その後石垣島で開催されたプレミアムな野外レストランイベント「DINING OUT」で辺銀夫妻に再会した。木村社長はご夫妻の13歳になる息子君を孫のように可愛がり、辺銀家からも「キム兄」と呼ばれ、今では家族ぐるみでおつきあいをする間柄となっている。

暮らしも、子育ても、仕事も、遊びも、パートナー

暁峰さんと愛理さんが、ラー油をつくりはじめたのは、まだ結婚前。おいしいものが大好きで、腕を競い合うように料理を作っていたふたり。皮から手作りの餃子は暁峰さん、手作りのラー油は愛理さんという、おいしいポジショニングが確立されていった。

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「彼の故郷・中国で、定番のラー油といえば“具だくさん”なんです。日本で販売されているような赤い油はないんですよ」と愛理さん。東京に住んでいた頃も、千葉のピーナッツ、静岡の山葵茎と、ラー油の材料を求めて小旅行にでかけるほど凝っていた。当時から、材料の組み合わせや分量の変化を楽しみながら、いろんな味を試していたそう。愛理さんは「ラー油はもともと、彼のために作っていたものだったの」という。

かの有名な「石垣島ラー油」を日常から生み出し、暮らす時も、仕事をする時も、一緒に過ごすことが多いふたり。そのコンビネーションの良さを問うてみると「暁峰は“おばさん”みたい。私は“おじさん”みたいとよく言われる」と愛理さんが解説してくれた。

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例えばビーチコーミングで拾ってきた貝殻やガラスの破片。庭の木をサークルで囲むように可愛くディスプレイするのが暁峰さん。石垣島の海底から引き上げた大シャコ貝に、ざざっと入れるのが好きな愛理さん。

新しい店のメニューを考えるのは愛理さん。アイデアを閃かせる、旗振り役だ。それをいいな、と思ったら、おいしいひと皿に仕上げていくのは暁峰さん。

さらに愛理さんが「私はひとりでいるのが好き」というのを横目に、「あんなことを言っていますが、愛理には可愛いところもあるんですよ」と暁峰さんはにこにこ笑う。ご夫妻の素敵なバランスが、「石垣島ラー油」のスパイスも調合にも表現されているのかもしれない。

石垣島の、石垣島による、石垣島のためのラー油

「石垣島ラー油」には、決めごとがある。石垣島、もしくは沖縄県内で育った食材をできるだけ使い、石垣島でつくるということだ。

「石垣島ラー油」は人気商品ゆえ、「当社の工場で量産してほしい」との誘いが、幾度となくあったそうだ。しかし、ラー油の材料は、島のおじい、おばあが育ててくれた作物。そう大量には栽培できない。何より、別の土地でつくってしまったら「石垣島ラー油」ではなくなってしまう。だから今も、石垣島以外でラー油をつくる気は、さらさらない。

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「石垣島ラー油」はすぐに売り切れてしまって、手に入りにくいといわれているが、2名だったスタッフも今では30名になり、ラー油作りに励んでいる。原材料の農作物を安定して買い取ることで、島のおじい、おばあのやる気もさぞかしあがったことだろう。「うちのラー油のベースになっている島唐辛子があるでしょう。あの値段は以前の10倍くらいになったようです」と、愛理さんが教えてくれた。島の経済に貢献したことが讃えられ、2014年には地元新聞の琉球新報社より「琉球新報活動賞」の産業部門を受賞している。

「あやかり」というスパイスも効いている

そうやって、地元・石垣島との密接な関係のうえにつくられている「石垣島ラー油」には、目には見えないおいしさが注入されている。その名は「あやかり」。

「沖縄には、『あやかり』という、すごくいい言葉があるんです。戦争をくぐりぬけ、厳しい時代を生きぬいてきた方たち…言うなれば、奇跡的な命やグットラックをお持ちの70歳から100歳の方々がいらっしゃる。そんなおじい、おばあから、お茶やお酒をついでもらう時などに『あやかり、あやかり』というんですよ」。

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だから、「石垣島ラー油」の材料は、20代と90代の農家さんがいたら、後者から仕入れするようにしている。奇跡的な幸運をおすそ分けしてもらった、「あやかり」たっぷりのラー油ができあがるというわけだ。

石垣島での楽しみが、またひとつ増えていく

お話を聞きながら、気になってきたのは、暁峰さんのTシャツ。カメラ本体がプリントされたデザインのものだ。もともとコレクターでライカの収集をずっと続け、今では100台近くを持っているとか。旅のお供もいつもライカだ。

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機能美という共通点があるためか、カメラと時計は親和性が高い。暁峰さんは時計愛好家でもある。今回手にしたのは〈Bell & Ross〉の一本。旅のお供がまたひとつ加わったようだ。

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一方、愛理さんが旅だけでなく、外出する時は常に持ち歩いているのが、黒檀のお箸。いわゆるマイ箸であり、森林伐採につながる割り箸は使うことはない。

なかなかできないことをさらりと日常的に行っているおふたり。今ではラー油のみならず、「CHI MU NO」や「トラベル・ペンギン」など、ユニセックスなオリジナルのウエアも手がけている。今後の展開もさらに気になるところだ。

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また、海が目の前にある場所に、ビーチハウス・ゲストハウス・イベントスペースのいいところを融合させた、新拠点をつくることも計画中である。「将来、食にたずさわりたいという子どもたちを招待して、本物の食にふれてもらおうと思っているんですよ」と愛理さん。数十年後、石垣島の子どもたちが、ふたりに「あやかり、あやかり」と言いながら、料理をふるまってもらっている。そんな光景を、眺められたら素晴らしいと思った。

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information

辺銀食堂 辺銀暁峰・愛理
辺銀暁峰・愛理
暁峰(ぎょうほう)さんは中国・西安生まれ。映画監督チャン・イーモウのもとでスチールカメラマンを務めた後、日本へ。愛理(あいり)さんは東京生まれ、アメリカ育ち。純文学の編集者だった父を持つ。父の趣味であった食べ歩きの覆面調査に連れて行ってもらっていた影響で、生粋のおいしいもの好きに。1993年に結婚し、1999年に石垣島へ移住。暁峰さんが帰化した後、日本で唯一の苗字「辺銀(ぺんぎん)」となる。「石垣島ラー油」の製造販売とともに、「辺銀食堂」「Lifestyle shop 石垣ペンギン」を営む。
ペンギン食堂
住所:沖縄県石垣市大川199-1
電話:0980-88-7803
営業時間:11:30〜売切次第終了
18:00〜売切次第終了
店休日:日曜+不定休
Lifestyle shop 石垣ペンギン
住所:沖縄県石垣市大川192-1 1F
電話:0980-82-8777
営業時間:11:00〜19:00
店休日:日曜+不定休
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