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袖を通す度に気分が高揚する、稀有なシャツ-山神 正則/山神シャツ(ストラスブルゴ所属)-

FASHION|2015.2.28 Photography:Satoru Hirayama
Text:Shizuka Koga

その職人技に、フィレンツェからもラブコール

イタリアを中心としたラグジュアリーなファッションアイテムを取り扱う「STRASBURGO /ストラスブルゴ」。
ここには、オンタイムもオフタイムも、スタイルを格上げする特別な服との出会いがある。シャツもまたしかりで、取り揃えているのは最高峰のブランド。さらに、世界に認められた技を持つシャツ職人・山神正則さんが在籍している。

山神さんは2013年、フィレンツェの職人組合「OMAより名誉ある賞を獲得。フィレンツェ在住以外の外国人が受賞するのは初めてという快挙だ。今回は、世界に誇れるジャパンメイドの一流ブランド、「山神シャツ」について紹介していこう。

「山神シャツ」のルーツに潜む、受け継がれた誇り

山神さんのシャツ職人としてのルーツを語る上で、欠かすことのできない人がいる。「地域の人々から相談役としても信頼を集めていて、いつもビシっとスーツを着ている人でした」という、山神さんの祖父上の存在だ。銭湯に行くときもスーツスタイルであったというから驚きだ。山神さんは、そんな祖父上の背中を見て育ってきた。

学生時代からブランドを立ち上げたりと、デザイナーとして活躍していた山神さん。昔から好きであったとはいえ、シャツだけに焦点を定めたのは、自身が親になったことが契機となった。保育園に送迎する際、保護者としての服装に抱いた思いである。「大切な子どもを預ける先生と相対するのに、だらしない格好でいいのか」。「子どもにとっても、誇らしい親でありたい」。

山神さんも、自分の背中を見せる番がきたのだ。その後、私生活から礼節を表現するのにふさわしいクラシカルな服装にシフト。中でもシャツに特化していった。今では保育園の送迎はもちろん、リビングで寛いでいる時も、子どもの運動会で走る時もスーツスタイルだというから、祖父上のエピソードに引けをとらない。

独自で開拓していったシャツ職人への道

日本において、一人ですべての工程を手掛けるシャツ職人の数は本当に少ない。さまざまなシャツを買っては解体し、独自の解釈に置き換え、パターンにおこす。山神さんは独学でシャツ作りに試行錯誤するほかなかった。
さらに、銀座にある日本屈指のテーラーへ師事。「シャツはスーツと共にあるもの」という観点から、スーツ作りを一から学んだのだ。かくして、スーツを構造から理解し、そこから差し引きしてシャツ作りの方程式を導き出した、稀有な職人が誕生。2011年から「STRASBURGO」と契約し、福岡店のテーラールームで腕を振るってきた。

身にまとえば胸が高鳴る、第二の皮膚とも呼べるシャツ

シャツは肌に直接触れるもの。よいシャツは、よい素材でなければならない。山神さんは特に、しっとりとした感触のシーアイランドコットンを好む。
採寸は20カ所以上にもなる。測る際に、その人の骨格や肉付き、姿勢のクセなども読み取っていく。測った数値に角度やバランスなどを織りまぜて、型紙をおこしていくのだ。
ひと針ひと針に、意図がある。それを種明かしするかのように話す山神さんの表情からは、シャツへの愛が滲みでている。

こうしてできあがった「山神シャツ」は、「羽衣のよう」と称されるほど、美しく軽やか。身体の動きを邪魔することなく、肌に沿う。「酔い潰れてシャツのまま寝てしまったけれど、いつものTシャツよりも楽だった」という顧客もいたという。

ボタンを縫い付ける瞬間、シャツに命が吹き込まれる

シャツの中でも機能を司るボタン。「命を懸けてます!」と言い切るほどに、山神さんはこの工程を重んじている。
縫い付けは、一般的な十字のステッチではなく「鳥足」という技法を用いる。ボタンを掛けやすいよう、角度をつけるためだ。そして、ボタンの裏側までも同じ「鳥足」のステッチで仕上げる。独自テクニックを駆使して、裏も表もスキなく整然と並んだボタンは、世界屈指のブランドシャツにも勝る美しさがある。

また、ボタンと生地の間に空間をつくる「根巻き」も、その長さをボタンの位置によってミリ単位で調整している。よく使う上部は手が入りやすい3mm、胴回りは負荷がかかりやすいので2mmと、その数値にも理由がある。

「STRASBURGO」に所属してからも、作り上げたすべてのシャツのボタン、通算1万個以上を1人で縫いつけてきた。それでもなお、ボタンへの探究心はやまず「あきませんね」と笑う。

山神さんの今後のビジョンのひとつに、後進の育成がある。希少なシャツ職人を日本にも根づかせていきたいという思いだ。それは同時に、「山神シャツ」を高めることにも繋がる。「教える」は「教わる」にも等しい。母校の教壇に立った際、生徒からのフィードバックに刺激を受けたこともあったそうだ。シャツ職人の普及とともに「山神シャツ」もまた、着実に進化を続けていくのであろう。

その背中とともに、引き継がれる時計

そんな山神さんが愛用しているのは「SEIKO」の時計。山神さんの祖父上の遺品から見つけたものだという。手首の近くにあると作業の邪魔になるので、カフスの上から巻く。動作上の理由からだが、汗や汚れでバンドが劣化することもないそうだ。

「息子が時計をほしいといったら、譲りますよ」。祖父上の見せてくれた背中を引き継いだ山神さん。その背中とともに、時計も引き継がれていくことだろう。

「山神シャツ」は、2015年2月より「STRASBURGO」の福岡店から南青山店へ。山神さんのために増設されたテーラールームに入る。福岡店でも6月と12月の年に2回、ビスポークオーダー会を開催予定。プライスは33,000円~で、引き渡しは5カ月後。
ちなみに、2013年当時は、引き渡し期間が3カ月であった。「山神シャツ」の着心地を味わったなら、もはや他のシャツには戻れない魅力を物語っている。入手困難な幻のシャツと呼ばれる日もそう遠くないだろう。見逃さないよう、「STRASBURGO」のインフォメーションをマメにチェックしておきたい。

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information

STRASBURGO ストラスブルゴ福岡店[MEN’S / WOMEN’S]
住所:福岡市中央区大名1-13-17
電話:092-726-3280
西鉄福岡(天神)駅から徒歩7分

ストラスブルゴ
http://www.strasburgo.co.jp/
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