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PANERAIでハズすという、贅沢なギミック-児玉 太/ジェントリーコンプレックス-

FASHION|2014.12.26 Photography:Satoru Hirayama
Text:Shizuka Koga

機能へのあくなき追求の先にある、衝撃の美しさ

今回の1本はイタリア海軍のために開発されたという背景を持つPANERAI(パネライ)から。一般向けに販売したのは1990年代のことで、比類なき機能美で認知されている。選んだモデルは「ラジオミール8デイズ」。その名の通り、ゼンマイを1度フルに巻けば8日間パワーが持続する。

Gentry Complex ジェントリーコンプレックス

PANERAIはオロジオにとっても特別な存在である。オロジオ・木村社長はスイスのジュネーブで初めて現物を目にした時、その機能美に衝撃を受け「時計魂が燃え上がった」そうだ。それから、この時計を取り扱う条件を満たすためにオロジオを立ち上げたと言ってもおかしくない。

人生を変える契機を与えるほどのPANERAIを主役に、今回はどんなコーディネートが生まれるのだろうか。

Gentry Complex ジェントリーコンプレックス

ライフスタイルに沿う、ハンドワークのオーダーアイテム

スタイリスト役をお願いしたのは「Gentry Complex/ジェントリーコンプレックス」の児玉さん。オロジオとは長年、“蜜月”にあるという。

大名の街角にたたずむこのテーラーで取り扱うのは、オーダーを中心とした、大人の男性に必要なアイテム。手縫いなどハンドワークの職人仕事にこだわり「カーディガンのような着心地」といわれるほど、仕立てのいいスーツを提供してくれる。

スーツを仕立てる際に最も注視することは、顧客のライフスタイルに合うかどうか。デザインや予算よりも、その人らしく着こなせ、スーツだけが独り歩きをしないようなスタイルの提案だ。こだわりたいのは、服と身に付ける人が互いを高めあえるような関係性。その考えは、服を時計に置きかえればオロジオにも通じる。この一致が二店の“蜜月”たる所以である。

Gentry Complex ジェントリーコンプレックス

用意されたのは、正統派ブリティッシュスタイル

それでは、児玉さんのコーディネートを紹介していこう。

まず、選んだのはダブルスーツ。着丈や胴回りをスッキリとさせて“今どき”の着こなしを実現した。一般的にダブルスーツは、難易度の高いアイテムだと認識されているかもしれない。しかし「実は、ボタンを開けるだけでカジュアルダウンでき、着こなしのバリエーションは幅広いんです」と児玉さん。チャコールグレーの生地には、よく見るとブルーのシャドーチェックが。ビジネスの場でもトレンドのチェックを品よく楽しめる。

Gentry Complex ジェントリーコンプレックス

シャツは、イギリスのチャールズ皇太子もフォーマルシーンで着用しているクレリックシャツ。身頃はスタンダードなブルーのストライプだ。ネクタイには、トレンドカラーの深めのグリーンを用いてポイントカラーとした。

ジャケットのチェンジポケットや、パンツの脇美錠にも注目してほしい。ディテールに垣間見える正統派ブリティッシュスタイルに背筋が伸びる。

シューズはPANERAIのストラップに合わせてダークブラウンを。「Gentry Complex」では、福岡の靴職人が手掛けるオーダーシューズも取り扱っている。昔ながらの手縫いによって作り上げる「ハンド・ソーン・ウェルテッド製法」を採用。“一生モノの靴”と呼べる、価値ある一足となる。

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そのギミックが、大人に相応しい装いとなる

PANERAIはイタリア海軍が出自という背景から、系統としては骨太に寄る。しかし、児玉さんが「ラジオミール8デイズ」から考案したコーディネートは、ディテールまでもが正統派のブリティッシュスタイルだった。その心はどこに?さっそく聞いてみよう。

「例えば、フェイスの薄いドレスタイプのウォッチにこのスタイルを合わせれば、スキのないコーディネートが完成するでしょう。しかし、完璧すぎる格好は、どこか人を寄せ付けないところがあるんです」と児玉さん。「ラジオミール8デイズ」とブリティッシュスタイルを合わせることで、その人らしい血の通った着こなしとなるそうだ。これが、大人のハズし、贅沢な隙、というものか。

また、そのハズしが上品に決まるのも、その人の身体にぴたりと寄りそう、オーダースーツがあってのことだろう。狙い通りにハズすなら、トータルのサイズ感に配慮して、全身のバランスをつくりあげていきたい。

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ビックフェイスのウォッチを装着。さて、カフスはどう扱う?

最後に気になったのは、PANERAIの特長でもあるフェイスの大きさ。シャツのカフスに収まりにくいのではないだろうか?

「そうですね。オーダーシャツの場合、時計で擦れることまで考慮して、左カフスはジャストサイズよりも1cm大きくすることが多いんですよ」と児玉さん。しかし、PANERAIのような大ぶりの時計のためにカフスを2~3cm大きくするのかというと、児玉さんの答えは「NO」。カフスで覆わず、カフスの上から自然に巻くと無理がないそうだ。ちなみに「Gentry Complex」のオーダーシャツならば、擦れてしまってもカフス部分の交換が可能だ。

ジェントルマンを目指すなら、その高みに近づける実力を持つ店に行くことだ。店のスタッフと打ち解け、自分のライフスタイルに似合う服をすすめてもらえるようになったら、それは専属スタイリストをひとり、手に入れたようなもの。人生の経験も豊富なスタッフならば、ファッションを通した処世術も教えてくれるだろう。もちろん、「Gentry Complex」も、その役目を全うしてくれている。

「Gentry Complex」の名前の由来を聞けば、コンプレックスは、男を磨く原動力のひとつであるからだという。15世紀イギリスのジェントルマンたちは、貴族との差にコンプレックスに感じる反面、だからこそ格好良くありたいと自らのマナーや装いを磨いていった。その想いを今、「Gentry Complex」が、現代の男性たちに伝えてくれている。

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アパレル一筋30年の児玉 太さん。
大学を卒業し、アパレル会社に入社。紳士服店で14年勤務した後、仲間とともに「Gentry Complex」を立ち上げる。顧客のリアルな声をキャッチして、コレクションへ柔軟に取り入れていくため、ベテランであっても店頭に立ち続けたいと願う。「ラジオミール8デイズ」を腕にした際には、「猫の引っ掻き傷があるんですよ」と笑い、チャーミングな一面ものぞかせてくれた。

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ビジネスパーソンのファッションは、相手へのリスペクトや気遣いとしてもあるべきで、自己満足だけでは終われない。「Gentry Complex」は、そのために必要なアイテムを取り揃えている。ジェントルマンのスピリットと、ハンドワークを基本にした物作りで、街のテーラーとして唯一の存在を目指す。

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Gentry Complex ジェントリーコンプレックス
Gentry Complex ジェントリーコンプレックス
住所:福岡市中央区大名1-10-29
電話:092-721-4020
地下鉄赤坂駅から徒歩7分
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