BAROQUE
住所:福岡市中央区赤坂3-13-27電話:092-725-8177
営業時間:11:00~19:00(日・祝は~18:00)
店休日:水曜
BAROQUE
http://www.baroque-flowers.com
ギャラリーや大人向けのセレクトショップが並ぶ、福岡市の「けやき通り」。その通りに面するフラワーショップ「BAROQUE/バロック」は、鮮やかな花を使ってインパクトのあるデザインを生み出す。深紅や紫、オレンジやピンク。ビビッドで強い色を大胆に掛け合わせ、フラワーギフト、ショップや空間のディスプレイで信頼を置かれている。
「BAROQUE」が提唱するのは上質な花。ごく当たり前のように思えるが、実は同じ花でも産地や生産者によって、大きさや形、花の寿命も違うのだ。値段が高ければ高いほどよい花、というわけではない。季節によっても変動がある。
「BAROQUE」の代表・大石さんに聞けば、今はインターネットで花を仕入れるフラワーショップが増えたという。花市場に行かずとも花は手に入る時代なのだ。
しかし、大石さんのように、実際に花市場で競りに参加してきた人は、花を見極める力や知識が格段に違い、上質な花へより近づけるという。また、多くのコネクションがあるので、花市場に直接電話をしてオーダーすることもあるそうだ。
また、福岡にあるほかのフラワーショップと一線を画す努力も怠たらない。珍しい花が集まってくる東京・大阪からも花や花器を仕入れるという。
花の命は1週間。「ですから、仕入れて3日経った花はすべて処分しているんです」と大石さん。「BAROQUE」では自宅用ではなく、ギフトとしての需要がほとんど。贈った花がすぐに枯れてしまったら、贈る人、受け取る人の双方に満足してもらえない。また、大切な取引先への贈り物だったとしたら、信頼を損なうことにもなりかねないのも、その理由のひとつだ。
「3日前までにご注文いただければ、最高の状態でお届けできますよ」。早めに発注しておけば、店にある花だけでアレンジをするのではなく、市場にある花も選択肢に入れることができる。もちろん、花持ちもいい。客側の注文のタイミングで「BAROQUE」の花の品質の良さを、さらに高めることができるのだ。覚えておきたい。
レストランをリザーブして祝う、パートナーの記念日。そこへ、大きな花束を持ち込むのは男性ならば少々照れくさい。そして、サプライズもしにくい。それならば、こんなギフトはいかがだろう。
こちらの「BAROQUE BOX 」は、花を受け取る側の視点はもちろん、贈る側の視点にも立ったギフトなのだ。シャンパンで乾杯した後に差し出すのは、シックなペーパーボックス。いつもの自分らしくスマートに振る舞える。そっと蓋を開けた中には、極上のバラが一輪。むしろ、大きな花束よりも、サプライズと呼べる意外性と感動があるのではないだろうか。
実は、オロジオの木村社長もこのサプライズを受けたひとり。車を新しく買い替え、納車された助手席には「BAROQUE」の黒いボックス。何だろう?と思いながら蓋をあけると、一面に美しく並ぶバラの花。思わず「やるねえ!」と声が出たという。
車といえば「BAROQUE」が手がけている空間には、ディーラーのショールームもある。原色同士の色合わせが目にも鮮やかな大輪の花や、クリアなフラワーベースに凛と立つ花が、高級車が輝く空間を一層ラグジュアリーなものにする。この時の主役は車で、花は脇役となる。だからといって、地味であってはいけない。ショールームに波長を合わせるとでもいうべきか、花たちは非日常を醸しながらも、自然とその空間に溶け込む。
「アイデアのストックがいっぱいあるんですよ」と大石さん。丈の短い花ならば、床一面に散らそうか。背の高い花ならばダイナミックに魅せようか。その中から、クライアントとのベクトルが合致するものをピックアップし、空間と花とを掛け合わせる。
上質な花を取り扱う「BAROQUE」だからこそというべきか。ワイヤーを使ってガッチリと作り込むようなデザインではなく、花自体の美しさをそのまま活かすのだ。大石さんの好きな花のひとつに「カラー」がある。茎に葉がついていないので、茎の美しさも際立せるアレンジができるという。自然な花の姿を全体で捉える「BAROQUE」ならではの視点であろう。
花のアレンジにはレシピがない。同じ花が変わらず揃うわけではないし、オーダーの内容もその都度違う。小さなブーケひとつにしても、作り手個人のセンスと経験値と融合させながら、世界にひとつだけの作品が出来上がる。いわば、作り手の感受性や価値観が、そのままアレンジメントに反映されるわけだ。
そのため大石さんは「スタッフには、一流のものに触れたり、知識を身につける機会を大切にしてほしいんです」と願っている。ハイクラスな空間を演出する機会が多い「BAROQUE」である。スタッフそれぞれが、その空間に見合うよう技術を磨くことはもちろん、内面や知性、立ち居振る舞いまでを整えていく。
見えない部分までこだわっているからこそ、「BAROQUE」のアレンジメントは美しいのだろう。
「BAROQUE」の花にまつわる話で、記憶に残るものがある。
ある人気飲食店が2号店をオープンする際、名だたる企業が祝福の花を贈っていたのだが、その中で、いちばん前に置かれたのは、オロジオが贈ったフラワースタンドだった。手がけていたのはもちろん「BAROQUE」。その日に最もふさわしく、最も美しい花と認められ、最前線に飾っていただけたのだろう。
飲食店のみなさんにはたいそう喜んでいただき、「BAROQUE」の花が結んだ縁で、両者の関係性がより深くなったと感じている。
さて、日常的に花や水に触れる大石さんは、普段は手元に時計や装飾品を身につけないのだそう。パーティーなどの社交の場で華やぐ、クラス感のあるアクセサリーとして<PANERAI>を選んだ。「ずっとほしかったんですよ」。腕に回すと思わず笑みがこぼれる。
訪れる人にインパクトを与えたり、取引先へのギフトで差をつけたり、愛する人の心に響いたり。「BAROQUE」の花はさまざまなシーンで力添えをしてくれる。活用しない手はない。